貝の隅っこ

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乳がん忘備録【37】

荷物をまとめて看護師さんたちにも挨拶をして、1階に降りた。

日曜日のロビーは、この病院に初めて来たときのように誰もいなくて、静まり返っていたけれど、もう勝手知ったる場所なので、いつもと違う様相が面白いと思った。

土日用の窓口で会計をお願いして、差額ベッド代を入れても、思ったより安く済んだので、本当に限度額認定証はありがたいと思った。

家までの帰路は、ご褒美として、タクシーを使うと決めていたので、休みの日でも病院の前で止まっていたタクシーに姉と乗り込んだ。

 

退院したら、発売したばかりのゲームをやると決めていたので、途中電気屋さんに寄ってゲームを買った。

昔はよくゲームをやっていたけれど、いつの間にかあまりやらなくなっていたので、久しぶりの感覚にワクワクした。家に到着して、家族に挨拶して、さっそくゲーム機を立ち上げて遊んだ。

 

 次の日になって、上長に手術が無事に終わったことを連絡した。

次の外来は約1週間後で、ひとまずそれまでお休みをもらうことにした。

長い休みは久しぶりで、最初はゲーム三昧かなと思ったけれど、手術を終わったばかりで、とてもやる気に満ち溢れていたので、目標設定の業務改善施策を色々試そうと、スクリプトの勉強をしたりした。なんだかうまくいきそうな気がしたので、出社が楽しみになった。

業務改善を色々やれば、きっと、後輩の子たちも喜んでくれるかなと思った。無駄に休んでいたつもりはないので、とか言って、かっこつけようと思った。

 

だから私は、手術は終わったばかりで、一番こわいことはもう終わっていて、やる気に満ち溢れていて、出社が楽しみで、これからなんだか、何もかも、うまくいきそうだとワクワクして、とても明るい気持ちだった。

今までのことは、全然、たいしたことじゃなくて、終わりじゃなくて始まりで、自分にとって、地獄の入り口に立っただけで、やっと、スタートを切っただけだったということに、全然、気づきもしてなかった。