貝の隅っこ

話を聞く副業をしています。 初回無料、2回目以降3000円~。詳細は最初の記事にて。

乳がん忘備録【13】

次の日、クリニックから電話が来た。病院の初診日の連絡だった。クリニックが決まったときのように、こちらも日にちがすぐ迫っていたので、紹介状は取りに行くことになった。もうできているので、いつでも来ていいと言われ、その日のうちに取りに行くと伝えた。何か行動していないと落ち着かなくて、じっとしていられなかった。仕事中も、没頭しているときは大丈夫でも、ふと我に返ると苦しくなって、仕事中なのに、がん患者の相談窓口を調べて、半泣きになって電話した。仕事が終わって紹介状を取りに行ったら、少しだけ話す時間をもらえて、色々思っていることとかを話したら、ちょっとだけ落ち着いた。前日送ったメールにも、丁寧に返信をしてもらえていて、泣きそうになった。

 

 

 

次の日は休みだったので、初診の予約をした病院と第二候補の病院の下見に行こうということになった。ちなみに、1泊3万円の病院は、そっと候補から外した。

病院の下見には、姉も一緒に行ってくれることになった。せっかく電車に乗って2か所行くからと、姉の提案で、そのときやっていた地下鉄の謎解きイベントに参加しながら病院へ向かうことになった。

最寄りの地下鉄の駅の職員室で謎解きキットを買うと、やっと久しぶりにお腹がすいてきたので、駅前でパスタを食べながら最初の謎を解いた。謎を解くと4つの駅が導き出されて、結構行くところが多くなりそうだったから、とりあえずは第1候補の病院から回ることにした。

謎解きキットには、一日乗車券も付いていて、それを使って病院の最寄り駅に着いた。第一候補の病院は、HPを見たときから思っていたけど、近づくにつれ、相当大きかった。休診日なので、正面玄関から入れないことに気づいて、あたりをきょろきょろすると、建物の側面に土日用の入り口があったのでそっちに回った。いい感じのところだといいな、と思って扉を押したけど、その病院の第一印象は暗くて、静かで、HPで見たときの印象より建物が古い印象で、少し戸惑った。

候補といっても、ここにしよう、と後押しするための下見だったのに、心は単純で、正直で、すぐさま本当にここでいいんだろうかと悩んでしまった。

少しでも、おっ、と思えるところを見つけようと、見て回っていい範囲を見学した。1階にはコンビニがあって、カフェもあって、さらに館内マップを見ると施設は充実しているみたいだった。でも、薄暗くて、人のいない、静まり返った病院は、どこか嘘みたいで、しっくりこなかった。

でも暗いのは、土曜日で、休診で、天気が曇りで、電気がついてなくて、少し建物が古くても、汚れているわけではなく、清潔感はあるんだし、と無理やり結論付けると、その時点で第2候補の病院を見に行くのはやめようということになった。単純に、これで第2候補の病院が、素敵で綺麗な場所だったとしたら、絶対迷うと思った。そうして、その日は残り時間をすべて謎解きイベントに費やして、目的の全部の駅を回って、最後までクリアした。とても面白かった。