貝の隅っこ

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乳がん忘備録【21】

入院日のお知らせは、数日前に突然来ると言われていて、少しそわそわしつつも、大分覚悟はできてきていた。せっかく入院するんだから、少しでも快適に過ごすためになんの準備をしたらいいのか検索したりもして、不安半分、ドキドキ半分だった。そんな12月の上旬すぎ、いつもどおり会社で仕事をしていて、机の上に置いていた携帯の液晶が暗くなって、なんとなく見覚えのある番号になるのを見て、ああ来たんだなと思った。

席を外して、電話に出ると、病院の窓口の人らしき男の人の声で入院日が伝えられて、あ、父親の誕生日だ、と思った。当日の時間や、連絡事項を、言われるままにノートに書き留めていたけれど、頭にまったく入っていかなかったので、何度も復唱した。

電話を終えて、オフィスに戻ると、さっきの電話が嘘みたいだと思った。会社で告げられた非日常への招待は、なんだか他人事で、自席に戻れば仕事が待っているから、非日常は紙一重なんだなあと思った。