貝の隅っこ

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乳がん忘備録【28】

朝になった。看護師さんがおはようございます、と挨拶に来てくれたりした。起床は6時半だけど、朝食もないし、とくに何かやることもないのでヒマになった。

 

手術は午後からなので、それまで何をしていようかなと思って、こういうときこそ有益なことをしようと、入院直前に上長と決めた、仕事の目標設定の案出しをしようと思った。

今やっている業務のなかで、何をどう工夫したら工数が減るだろうかと、思いついたことをノート書いた。なんだか頭が冴えていたので、いいアイディアがいくつか出てきた。そうしているうちに、姉から携帯に、11時すぎ頃に病院に到着する予定で準備しているという連絡が来たので、はーいと返事をした。手術は午後からで、合流したあと、何をして時間を過ごしていようかなと思った。

 

すると看護師さんが2人やってきて、これ履いて、点滴しましょうね、と言った。点滴を朝することは聞いていたので、何とも思わずに、長い靴下のような、白い圧着ソックスを受け取って、必死にベッドの上で履いた。看護師さんは、それを履いたら、行きましょうねと言ったので、どこへ行くんですか?と聞くと、

 

「手術室です」

 

と看護師さんが言った。私は、あまりに驚いて、ええ?と言った。

手術は、午後と聞いていて、家族は11時頃までにいれば大丈夫と言われていることを伝えると、看護師さんは、変更になりましたと、にこやかに伝えた。悪あがきのように、でも、家族はまだ到着していないどころか、家にいると言うと、家族には、貴重品を傍机に仕舞ったあと、鍵を託す必要があったらしく、看護師さんが、困った顔をした。でも、じゃあ後ろを向いているので、その間にどこかに鍵を隠して、その場所をご家族に伝えてもらえますか?と言ったので、ずいぶんアナログな方法だなと思った。