貝の隅っこ

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乳がん忘備録【24】

それから看護師さんに言われた順番に検査室を回っていると、だだっ広い、でも静まり返ったフロアにたどり着いた。待合室には2人だけ女性がいて、2人は少し声を抑えながらおしゃべりしていた。知り合いなのかな、とぼんやり思いながら座っていると、1人が部屋に呼ばれていって、静かになった。でも、しばらくすると、

 

オリエンテーションのとき、一緒だった方ですよね?」

 

と声をかけられて、驚いた。その人を見て、よくよく思い出してみると、手術前のオリエンテーションのときに、隣に座っていた女性だった。看護師さんから、何か質問がありますか、と聞かれたときに、手術のとき、まつエクがついていても大丈夫ですか、と質問をしていて、私も少し前までまつエクをしていて、少し気になった質問だったから、覚えていた。

その女性からの、手術、明日何時からですか?という質問に始まって、つぎつぎに色んな会話が飛び交った。その人も乳がんだった。考えてみれば、事前の同じ検査の待合室にいるのだから、当然だった。同じ状況の人と会話したのは初めてだったので、今の気持ちがわかってもらえることが嬉しくて、またその気持ちも痛いほどわかって、堰を切って話した。先ほど部屋に呼ばれた女性が戻ってきて、その人も実は、知り合ったばかりだと聞いて、今度は3人で話した。検査が私の番になって、行かなくてはいけなくなったときも、名残惜しくその場から立ち去ったけど、検査が終わっても2人はまだそこにいてくれていて、嬉しくなって駆け寄った。検査が終わっても、しばらく部屋に戻らずに、3人で会話をした。